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高血圧

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高血圧とは?症状や原因、予防につながる食事について解説

「高血圧に自覚症状はあるの?」
「高血圧を放置するとどうなる?」

このように、高血圧について気になっていませんか?

高血圧とは、血圧が正常よりも高い状態が続いていることを言います。自覚症状はほとんどありませんが、高血圧を放置すると重大な健康被害につながるリスクがあります。

そのため、医療機関で定期的な検査と適切な治療を受けて、高血圧を予防・改善することが大切です。

こちらの記事では、高血圧の基準や症状、原因、放置するリスク、高血圧の予防・改善方法について解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

高血圧とは?高血圧の基準と状態を解説

高血圧とは?高血圧の基準と状態を解説

高血圧とは、血圧が正常よりも高く、慢性的に続いている状態のことです。高血圧の診断基準は次のとおりです。

  1. 最高血圧が140mmHg以上
  2. または、最低血圧が90mmHg以上

繰り返し血圧を測っても、上記のような数値が測定される場合は高血圧(高血圧症)の可能性があります。

高血圧は常に血管に負担がかかっている状態のため、血管壁が傷ついたり血管のしなやかさが損なわれ硬くなったりして動脈硬化を引き起こす可能性があります。

なお、体を動かしたり緊張したりするなど、日常生活の些細なことでも血圧は上昇しますが、一時的な血圧の上昇は高血圧ではありません。

血圧とは?血管の内側にかかる圧力

そもそも血圧とは、血液が動脈を流れるときに、血管の内側から血管壁に与える圧力のことです。

血圧には、最高血圧や最低血圧という上下幅があります。最高血圧は心臓が収縮して血液を送り出したときの血圧「収縮期血圧」のことで、最低血圧は心臓へ血液が流れこんで拡張したときの血圧「拡張期血圧」のことです。

また、血圧は心臓から血液を送り出す力や血管の内径、血管壁の弾力性により決まり、測定時にその圧力が数値化されます。

血圧は常に変動しており、朝の起床時に上昇して日中は高い状態が続き、夜間や睡眠中は低くなるのが一般的です。

その他、血圧を上げる要因はさまざまで、塩分の摂り過ぎやストレス、寒さ、睡眠不足、加齢、肥満などがあげられます。

高血圧症とは?いつも血圧が正常より高い状態

高血圧症とは常に血圧が正常よりも高い状態のことです。つまり、高血圧症とは一般的に「高血圧」のことです。

ただし、高血圧と高血圧症の意味を分けるために、たまたま測った血圧が高いときを「高血圧」、常に血圧が高い状態のことを「高血圧症」ということもあります。

また、高血圧症には「本態性高血圧症」と「二次性高血圧症」の2種類があります。

本態性高血圧症とは、原因がある特定のものに限定されない高血圧症のことです。本態性高血圧症の要因には、塩分の過剰摂取や肥満、ストレス、運動不足、喫煙、遺伝といったさまざまなものが考えられます。

一方、二次性高血圧症とは血圧上昇のはっきりとした原因がある高血圧症のことです。甲状腺や副腎の病気、睡眠時無呼吸症候群などによって血圧が高くなっている場合は二次性高血圧症と診断されます。

なお、日本人の大部分の高血圧は本態性高血圧とされます。

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血圧値は7種類に分類される

日本高血圧学会がまとめた「高血圧治療ガイドライン2019」では、血圧値を以下のように分類しています。



引用:表2-5 成人における血圧値の分類|高血圧治療ガイドライン p.18


また、脳心血管リスクは高血圧のレベルや嗜好品、持病などの組み合わせによって人それぞれ異なるため、血圧値ごとの脳心血管病リスクを以下のように定めています。



引用:表3-2 診察室血圧に基づいた脳心血管病リスク層別化|高血圧治療ガイドライン p.50


たとえば、収縮期血圧(最高血圧)が140〜159mmHgで、拡張期血圧(最低血圧)が90〜99mmHgの方は「Ⅰ度高血圧」に分類され、そのうち仮に年齢が65歳以上の方であれば、脳心血管病のリスクが中等度ということがわかります。


高値血圧以上に分類される方は血圧を下げることが大切です。降圧の目標は次のとおりです。



引用:表3-3 降圧目標|高血圧治療ガイドライン p.53

日本人の3人に1人が高血圧

現在、日本人の3人に1人が高血圧と言われています。

日本高血圧学会によれば、2017年の日本の高血圧者の推定人数は計4,300万人とされています。日本の人口は約1.25億人のため、約3人に1人が高血圧者となる計算です。

また、高血圧の人のうち、自分が高血圧であるか知らない人が約1,400万人、高血圧と知っていながらも治療をしていない人が約450万人いると言います。

参照:高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)作成委員会|日本高血圧学会

高血圧の症状とは?頭痛やめまいなど

血圧がある程度高くても、自覚症状をほとんど感じないのが一般的です。血圧が非常に高いときには、次の症状を覚えることがあります。

  1. 頭痛
  2. めまい
  3. ふらつき
  4. 肩こり

ただし、これらの症状は疲労や風邪のほか、高血圧以外の病気が原因でも起こりうるため、自覚症状のみで高血圧かどうかを判断するのは難しいです。

高血圧と診断されたからといって、頭痛やめまい、ふらつきの原因が高血圧であるとは限りません。高血圧を疑う以前に、ほかの疾患が原因の可能性も考えられるため、検査を行って原因を特定すると同時に、適正な治療を行うことが重要です。

病気の早期発見・早期治療を行うためにも、自己判断せずに定期的に医療機関で健康診断や検査を受けましょう。

高血圧を放置するリスク

高血圧を放置すると、動脈硬化を引き起こすリスクが高まります。通常、血管の壁は柔軟性がありますが、高血圧の状態が続くと血管が徐々に厚く・硬くなるためです。

動脈硬化は脳出血や脳卒中、脳梗塞、心筋梗塞、大動脈瘤、腎硬化症など、さまざまな健康被害につながります。

動脈硬化以外にも、高血圧によって心臓に負担がかかって心臓肥大が起こり心不全になる可能性や、腎臓に負担がかかって慢性腎臓病や腎不全を発症するリスクもあります。

高血圧を放置すると、このような合併症を引き起こす可能性があるため、健康診断などで高血圧と診断されたら、自覚症状がないからと放置せずに血圧を正常に戻すことが重要です。

高血圧になる主な原因

高血圧になる原因はさまざまですが、主に以下の原因が考えられます。

  1. 塩分の過剰摂取
  2. アルコールの過剰摂取
  3. ストレス
  4. 運動不足
  5. 激しい運動
  6. 肥満
  7. 寒さ
  8. 急激な気温の変化
  9. 加齢
  10. 遺伝的な体質

日本人にとって高血圧になる原因として、とくに多いのが塩分の過剰摂取です。

厚生労働省の報告によれば、令和元年(2020年)の食塩摂取量の平均値は1日10.1gとのことです。

参照:令和元年国民健康・栄養調査結果の概要 - 第2章 栄養・食生活に関する状況(p.23)|厚生労働省


しかし、厚生労働省の食事摂取基準では、1日あたりの食塩摂取量の目安は男性(15歳以上)が7.5g未満、女性(12歳以上)が6.5g未満としています。このことから、政府が掲げる基準よりも平均的に2g程度多く塩分を摂取していると言え、塩分の過剰摂取による高血圧に注意が必要です。

参照:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 ミネラル(多量ミネラル) - ナトリウムの食事摂取基準(p.306)|厚生労働省

高血圧の予防・改善対策!血圧が高いときの過ごし方

高血圧の予防・改善対策!血圧が高いときの過ごし方

高血圧の予防・改善対策には、以下の方法があります。

  1. 減塩を心がける
  2. 適度な運動を心がける
  3. 肥満を改善する
  4. 野菜や果物を摂取する
  5. タバコやお酒の量を減らす
  6. 冬は寒さ対策をする
  7. 十分な睡眠をとる
  8. 便秘を予防・改善する

それぞれの対策について詳しく解説します。

①減塩を心がける

体内の塩分量が増えると、水分が蓄積して血液量が増加して血圧が上昇します。そのため、普段の食事で多くの塩分を摂取している人は、減塩を心がけて血圧を下げることが大切です。

厚生労働省が定める1日あたりの食塩摂取量は、男性は7.5g未満、女性は6.5g未満が目標値です。

目標値は健康時を基準としているため、高血圧の方は目標値を下回る量に塩分を抑えることが大切になります。血圧を下げるために、1日の摂取量は6g未満を目標にしましょう。

料理に使用する食塩の量を減らすほか、薄味を心がけ、醤油などの調味料を減塩タイプを選ぶなどの工夫が必要です。

②適度な運動を心がける

有酸素運動を行うと、血管が拡張してしなやかになり血流がよくなります。さらに、汗をかいて体内から塩分が排出されるため、血圧を下げることができます。

運動は筋力トレーニングなどの無酸素運動ではなく、ウォーキングや散歩、ラジオ体操など、軽い有酸素運動がおすすめです。1日30分以上の運動が目安です。

ただし、高血圧の重症度や合併症の有無などによって許される有酸素の程度は異なります。高血圧気味の方、高血圧と診断された方は、医師に有酸素運動をどの程度行うべきか相談しましょう。

③肥満を改善する

肥満は血圧を上昇させると同時に心臓にも負担がかかります。おおよその肥満度はBMI指数(体格指数)で測ることができ、BMI指数が25以上は肥満と言えます。

BMI指数の計算式は次のとおりです。

体重(kg) ÷ (身長(m) × 身長(m)) = BMI指数

肥満による高血圧は尿酸値や肝機能、血糖値などにも異常が見られるケースも少なくありません。内臓脂肪型肥満の「メタボリックシンドローム」が進行するリスクも高いです。

また、BMI指数の目標は25未満ですが、急激な体重変化が正しいとは限りません。自分に合う減量方法も人それぞれ異なるので、減量方法や減量期間について医師に相談しましょう。

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④野菜や果物を摂取する

野菜や果物には、体内の塩分(ナトリウム)を汗や尿として体外へ排出する「カリウム」が含まれているものが多いです。日々の食事に、野菜や果物を意識的に取り入れることで、血圧を下げることができます。

カリウムが豊富な食材として、以下があります。

  1. バナナ
  2. ほうれん草
  3. にんじん
  4. アボカド
  5. 枝豆
  6. メロン
  7. キウイフルーツ

ただし、カリウムの摂り過ぎはよくないので、適度に摂取して栄養バランスの整った食生活を意識することが重要です。

また、腎臓病を患っている方の場合、カリウムの摂取によって「高カリウム血症」になる可能性があり、糖尿病の方が果物を食べると糖分を多く摂取してしまう可能性もあります。

持病がある方や高血圧の合併症がある方は、食事について医師に相談しましょう。

⑤タバコやお酒の量を減らす

タバコやお酒の量を減らすことも、高血圧の予防・改善につながります。

アルコールを摂取すると血管が拡張されて一時的に血圧が下がりますが、時間が経つと血管が収縮して血圧が上昇します。とくに、過剰な飲酒は脳卒中や心臓病、肝臓病などの原因になるため注意が必要です。

ただし、少量の飲酒であれば血流を改善する作用も期待できるため、必ずしも禁酒する必要はありません。普段から多量に飲んでいる方は、お酒の量を減らしましょう。

また、タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させて血圧を上昇させる作用があります。さらに、血流が悪くなるうえ、発癌リスクもあります。

健康維持のために禁煙、あるいはタバコの本数を減らしましょう。

⑥冬は寒さ対策をする

暖かいところから寒いところへ出ると、血管が収縮して血圧が上昇します。冬の時期は室内と外気の温度差が激しいため、冬の外出時はマフラーや手袋などをして寒さ対策をすることが大切です。

また、入浴時も血圧の急激な変化に注意する必要があります。脱衣所で血圧が上がり入浴時にさらに血圧が上昇し、お風呂から出ると血圧が大きく下がります。

脱衣所に暖房などをかけて、脱衣所と風呂場の温度差を少なくし、お湯の温度は40℃ほどのぬるめにし、長湯は避けましょう。

⑦十分な睡眠をとる

仕事や家事、育児などで忙しくしていると、過労や精神的なストレスで血圧が上昇するリスクがあります。

そのため、毎日規則正しい生活を心がけて、十分に睡眠をとり、疲労やストレスをためないことが大切です。働き過ぎや夜更かしもできる限り避けましょう。

⑧便秘を予防・改善する

排便時にいきむ時間が長いと血圧が上昇するため、便秘を予防・改善することも、高血圧の予防・改善につながります。

便秘予防のポイントには以下があります。

  1. 毎日決まった時間にトイレへ行く
  2. 朝食前に冷たい水を飲む
  3. 海藻類や野菜など食物繊維が豊富なものを食べる

また、和式便器でしゃがむよりも洋式便器に腰掛けて排便するほうが、急激な血圧の上昇を抑えられます。

血圧を下げる食べ物・食事とは?

血圧を下げる食べ物には以下があります。

  1. 雑穀米
  2. 玄米
  3. 海藻類
  4. きのこ類
  5. 根菜類
  6. 果物
  7. ナッツ類
  8. 青魚

雑穀米や玄米、海藻類、きのこ類、根菜類には食物繊維が豊富なものが多く、食物繊維が体内のナトリウム(塩分)を吸着して体外への排出を促してくれます。

果物や海藻類、ナッツ類には、カリウムが豊富なものが多いので、体内のナトリウムの排出を促し、血圧を下げる効果が期待できます。アーモンドなどのナッツ類を食べる際は、無塩タイプを選びましょう。

また、サンマやぶり、サバなどの青魚には血液をサラサラにする必須脂肪酸「EPA」や「DHA」が含まれており、降圧作用が期待できます。

高血圧治療薬の種類一覧

現在汎用されている高血圧治療薬の主な種類は、次のとおりです。

主な作用
カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬) カルシウムの血管収縮作用を抑え、血管を広げることで血圧を低下させる
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬) アンジオテンシンⅡによる「血管収縮作用」「体液貯留作用」「交感神経活性」を抑えた結果、血圧を低下させる
ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬) 内分泌の中で強力な昇圧作用をもたらすレニン-アンギオテンシン系を抑制し、血圧を低下させる
β遮断薬 心拍数の減少と心収縮力抑制による心拍出量の低下、腎臓でのレニン産生抑制、中枢での交感神経抑制作用などによって、血圧を低下させる
利尿薬 体内の余分な水分・塩分を排出する薬。体内の水分量を減らして血圧を低下させる。
MR拮抗薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬) 腎臓の尿細管などに作用して、カリウム喪失なくナトリウム排出を促進して、血圧を低下させる

治療薬によって期待できる効果や副作用、適応する人はそれぞれ異なります。医療機関の診断を受けて、自分に合う治療薬を処方してもらいましょう。

高血圧は血圧の自己測定で見つける!早めの受診が大切

健康診断では血圧測定が含まれることがほとんどです。容易に検査できるうえ、血圧の変化は体調の変化の重要なサインとなるためです。

高血圧と診断された方の多くは、自覚症状がなく健康診断の血圧測定で発見されます。

仮に健康診断で指摘されなくても、「早朝高血圧」や「夜間高血圧」など時間帯によって血圧が上昇する方もいます。そのため、日ごろから家庭用の血圧測定器を用いて自己測定することが大切です。

血圧が高めの場合、何か病気を発病しているかもしれません。血圧が上昇している理由を検索し、病気が判明すればすぐに治療する必要があります。

そのためにも、早めに医療機関へ受診していただくことをおすすめします。高血圧の診療は、内科や循環器内科などで受けることが可能です。

まとめ

高血圧とは、血圧が正常よりも高く、慢性的に続いている状態のことです。高血圧になる原因はストレスや運動不足などさまざまですが、とくに日本人は塩分の過剰摂取による原因が多いとされます。

日本人の3人に1人が高血圧と言われており、高血圧を放置すると重大な健康被害につながるリスクがあるため、生活習慣の改善や治療で血圧を正常に戻すことが大切です。

高血圧は自覚症状がないことがほとんどなので、自覚症状がなくても検査を受けるために、定期的に医療機関を受診してください。

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